都営バスの基礎知識車両・設備編

乗降客カウント装置
一部車両の前扉と、中扉上に自動ドアのセンサーみたいな装置が取り付けられている車両を見かけると思いますが、これは乗降客数を数える装置です。

低公害車編
都営バスには、様々な種類の低公害車が導入されています。

★アイドリングストップバス
停車中に、一定条件でエンジンを自動停止、自動起動させるシステム。小滝橋営業所のいすゞA代車で採用。B代車から本格的に搭載。またX代〜A代車の一部も改造を行っている。
システム的には以下の条件を見たし、かつアイドリングストップシステムのスイッチを「オン」にしている場合、エンジンが自動的に止まる。
その条件とは
・ギアがニュートラルになっている。
・クラッチペダルを踏んでいない
・車速が0キロ
・DPFが動作中でない(該当車のみ)
また、エンジンを起動させるにはマニュアル車はクラッチペダルを、、オートマ車はエンジン起動ボタンを踏む(押す)事により、エンジンは再起動する。
B-H222 ★酸化触媒取付車
酸化触媒とは、PM(粒子状物質)の低下をはかることが可能な装置の一つである。
機能的な部分を説明すると、排気ガスを余剰還元剤を塗布した部分に当てると、排気ガス内に含まれるPMのうち、炭化水素を主とした未燃焼物質が余剰還元剤の働きによって酸化し、二酸化炭素と水に変化することで、排気ガス内の有害物質類を無害化する働きがある。
また、酸化触媒は温度が高いほど化学反応が促進されると言う特徴がある。
メリットとしては、DPFに比べて導入コストが低廉でメンテナンス費用が低く抑えることが可能であるが、低硫黄軽油との併用で最大限の効果を発揮するため、軽油自体を変えなければならないというデメリットもある。
★HIMR〜HINO Inverter Controlled Motor Retarder System〜
日野自動車が開発した、日本最初の実用化ハイブリットバス。
ディーゼルエンジンと三相交流モーターを併用し、パワーを必要とする加速時に、モーターでその力を補助しディーゼルエンジンに負荷をかけず加速することで、NOx等を減らす事を目的としている。(NOx約20%低減 黒煙約60%の低減を実現)
またブレーキ時に交流モーターを発電機として使い、床下にあるバッテリに電力を充電する回生ブレーキ機能を備わっている。
しかしながら、回生ブレーキ分だけでは、加速時の補助電力に不足が生じるため、時折家庭用電気による充電も必要である。
蓄圧式低公害車
蓄圧式低公害車は、3メーカーの車両が存在している。
基本的なシステムは同一で、ブレーキ時に得られる制動力を、車体床下に設置してある油圧ポンプ内の窒素ガスを圧縮することでボンベに蓄圧し、その貯めたエネルギーを発進加速時にディーゼルエンジンの補助動力にすることにより、NOx等の低減を図るシステムで、蓄圧時や解放時に独特の音を発するのである。(NOx約40%低減 黒煙約60%の低減を実現)
しかし、減速時にエネルギーを蓄圧する構造のため、渋滞時や低速運転時には効果が得られにくいこと。
高価な値段の割に、低公害効果がまちまちで、都市部では目立った効果が見込めないこと。
最高運転速度が制限されていること、蓄圧解放時の急加速や、最大蓄圧時などにブレーキ力が不安定になると言う短所も存在し、国土交通省で定められている基準をクリアできないため、現在では製造が中止されている。
★CHASSE〜Clean Hybrid Assist System For Saving Energy
いすゞ自動車が開発した蓄圧式低公害車。
特徴は機械式オートマチックを採用したことである。
しかし、メーカーでの対応が終了したらしく、導入した事業体では故障を恐れて、この機能を停止して運転しているところが殆どである。
東京都交通局の場合、小滝橋営業所でCHASSE機能を使っている車両がいる模様。
余談
CHASSEとは、ダンス用語で『シャープなペアのステップ』の意味。
また同じ綴りでキリンよりジュースが販売されていたので、意外と聞き覚えのある略し方であります。
★MBECS
〜Mitsubishi Brake Energy Conservation System

(直訳すると 三菱ブレーキ力保存システム→三菱ブレーキ省エネルギーシステム)
三菱自動車の蓄圧式低公害車。
ブレーキ時に得られる制動力で、力を溜めて。加速時にその力を解放し、補助動力に使うシステム。
仕組みは、ブレーキをかけると制動力で油圧ポンプが作動油を排出し、アキュムレーター内の窒素ガスが圧縮されることにより、ブレーキ時に得られる車両の運動エネルギーをアキュムレーターに蓄積される。
 加速発進時には、ドライバーがアクセルを踏んだことを検知すると、アキュムレータから高圧の作動油が送られ、油圧モーターが動作することで、蓄えた圧縮エネルギーをディーゼルエンジンの補助動力に使い、排気ガスの低減を図るシステム。
都営バスでは、平成5年の南千住営業所のZ332号車で初登場し、南千住営業所・青戸支所・千住営業所に導入されている
★MBECSII〜Motorvehicle Brake Energy Conservation System

都営バスでは平成7年に登場した、MBECSの改良版で、略称が変更になった。
前作をフィードバックして改良し、同時にアイドリングストップ&スタートシステムも搭載された。

人に優しいバス
★都市型超低床バス(リフト付き)
都営バスが自動車メーカーと協力して開発した都市型超低床バスを改良し、車いすの方でも楽にバスに乗車できるようリフトを取り付けた車両で、平成3年に新宿・早稲田・杉並・北・千住の各営業所に1〜2台ずつ配属された。

★らくらくステップバス
※らくらくステップとは東京都交通局独自の名称で、ワンステップ車をリフト付き超低床車で導入していたが、低廉かつ大量導入を目指してメーカー設定のワンステップ車をベースに乗降しやすくステップ部分を2段にした車両で、今までの超低床車に比べて導入コストの低廉化を行うことが可能となった。
★ノンステップバス
その名の通り、ステップ(階段)の無いバス。
日本では京浜急行電鉄と名古屋鉄道、岐阜乗合自動車が1980年代後半に、三菱自動車製を日本で初導入した。
その当時の車両はノンステップバス専用の設計ではなく、一般のバスと同じ図面設計であったため使い勝手が悪く、実際に乗車したことがあるのだが、車内も今の本格的ノンステップバスよりも狭く実用とは甚だ遠い物であった。
その後、本格的なノンステップバスが登場したのは1996年で、日産と三菱が製造し、東京都をはじめとした主要都市圏公共事業体にて導入された。
このとき導入された車両は、ノンステップバス先進国であるヨーロッパの部品を使うなど、機能面やサービス面でも昔のノンステップバスとは雲泥の差であったが、乗りやすさとは裏腹に新型でもデットスペースが多く、大きさの割に定員が少ないなど改善の余地ありだった。その後、改良に改良を重ねることにより、車内空間の拡大や、乗車定員数の増大がはかられ、また量産効果や規格統一によって導入コストも下がり、東京都交通局では2000年度導入分より全車両ノンステップバスで導入している。

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